上司がケアしきれていない職場のうつ病

管理監督者は、職場環境(作業環境、作業方法、労働者の心身の疲労回復を
図る施設など)の改善と部下からの相談への対応を行う義務を持っています。

職場のキーパーソンである管理監督者(部下を持つ上司)は、労働者の
日常的な状況を把握し、また個々の職場における具体的なストレス要因
の把握と改善を図る立場にあります。仕事の量、質、労働時間、人間関係
などに問題はないかどうか、長時間労働や過労による心理的ストレスは
ないか、「いつもと違う」労働者の変化に気づき、労働者の一番身近にい
て相談に対応できる人としての機能を果たさなくてはなりません。
そのためには傾聴を基本とした面談能力が必要とされます。
部下が上司を信頼し気軽に相談できる人間関係をつくるために、あいさつ
や声かけから始まり、常日頃からのコミュニケーションが大切です。

しかし実際には「傾聴」が不十分な上司が多いというのが実情です。
様子がおかしいことに気づいて部下を会議室に呼び出すまでは行って
いても、結局上司から部下へのお説教や訓示めいたもので終わってしま
い、部下からすれば「話をちゃんと聴いてもらえた実感が無い」ということ
が多々あるようです。
「傾聴」とは、部下のリクエストに単に応じることでもなければ、迎合する
ことでもなく、ましてや話を取り上げて上司としての考えを押し付けるもの
であってもいけません。感情も含めた事情や言い分を最後まで十分に
耳を傾けることで、部下はカタルシスを感じ、少しでもストレスを和らげ
る効果を持ちます。

労働者のストレス要因として職場の人間関係が上位にあげられていますが、
なかでも上司との関係に悩む労働者が多くいます。したがって、管理監督者
は、この事実を踏まえて自分のありようについて自戒し、改善を図らなけれ
ばなりません。またメンタルヘルス不調により長期休業した部下の職場復帰
の成否は、上司や職場の同僚たちのサポートいかんにかかっています。

傾聴やメンタルケアが難しいと感じる場合には、スキルを持つ専門家(臨床
心理士や産業カウンセラーなど)へ相談に行くことを勧めることも、ケア対策
として適切といえます。特にうつ病の場合は、早期発見が重要です。
プレイングマネージャー(管理責任もあるが数値責任も同時に担っている状態)
が増えていることに比例して、目先の労働力の欠如は生産力の痛手になること
ばかりを気にして、部下に我慢を強いてしまうという場面も増えています。
管理監督者が労働者のメンタルヘルスバランスをケアせずにいることのほう
が、効率性も落ち利益の低下にも繋がるという構造を十分に理解する必要があり
ます。
官公庁や一部大手企業などではすでに、社員のメンタルヘルスを考える
研修やセミナーが行われ、外部カウンセリングなどが実行されています。

日常の気配りから気づく部下の変化例:
■勤怠
遅刻、早退、欠勤、無断欠勤が増える

■業務
・仕事の能率低下や事故やミスが多くなる
・残業、休日出勤が増える
・対人トラブルや顧客トラブルが起こる

■生活
・元気がない、顔色が悪い、笑顔がなくなる、挨拶がなくなる
・報告や相談、挨拶を避け会話が少なくなる
・服装が乱れる、化粧や髪の毛に無頓着になる
・飲酒や喫煙の頻度や量が増える


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