出社拒否症という病態

出社拒否症という病気はありませんが、出社拒否に至る多彩な病態が考えら
れます。単純に上司とウマが合わない場合から、職場のいじめ、不安神経症、
うつ病、若者の”ひきこもり”などさまざまです。若年者の不登校が深刻化・蔓延化
していますが、そのおとな版がこの出社拒否症です。

1)中高年齢者のうつ病例
入社して10年以上が経過し、中間管理職的な立場におかれている人たち
にも出社拒否症は表れます。家庭でも、職場でも立派に仕事や役割をこなし、
周囲から信頼を得ていた人に、ある日突然、失踪騒ぎや長期欠勤が始まる
ので職場関係者や家族にとって合点がいかないことが多いです。しかし、
突然のスランプのように見えても、当時の様子を詳しく調査すると、それなり
の前兆を認めることが少なくありません。ひとつは残業や休日出勤が続き、
心身ともにかなり消耗している場合です。また、「朝起きにくい」「新聞やテレビ
を見るのが億劫」「食欲がない」「人と顔を合わすのが面倒」「夫婦生活が疎遠
になる」「朝早く目が覚めてくよくよ考え込んでしまう」など、うつ病を示唆する
症状が認められることがあります。

2)葛藤の少ない若手社員の例
20代、30代の若手社員の”ひきこもり”も問題になています。周囲が理解できる
ほどの医学的原因が見当たらないこと、周囲に迷惑をかけていることへの本人
の葛藤が少ない点が特徴です。気分障害であるのは間違いありませんが、それ
に対する治療意欲や受療行動がいいかげんで、社会人としての自覚が乏しく
見受けられます。その背景には、逃避あるいは退却の心理特性が見られ、
「出社したいのに出社できない」という葛藤が少ないようです。こういった人の
傾向は、学生時代は優等生タイプが多く、家族の対応は過保護で、挫折体験
がありません。したがって、病気という医学的な問題と、家庭環境や本人の
社会性欠如としった両面から理解していく必要があります。

【医学的対応】
「周囲を困惑させる」状況の背景には、まずうつ病の存在を想定する必要が
あります。どちらも社会生活からの逃避・退却という特徴を持っており、一般に
強迫的で完全主義的な人に多く表れます。そのため、カウンセリング時には、
葛藤が少ないぶん、時間をかけて心を解きほぐしていくと同時に、日常生活
の規則化、社会人としての自覚の促進といった働きかけも行います。

【周囲の環境調整と理解】
これらの事例では、上司や人事担当者など周囲の理解が得られにくい場合
があります。しかし、本来の能力は優秀な人が多いため、社会人の落伍者
とすぐに決めつけてしまうのではなく、職場で育てていく姿勢も必要と
なります。


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